以下に特設ページを作りました。

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概要はほとんど上記記事に書いている通りなので、もうすこし率直に経緯的なことを少し。
僕はこの一年弱、『ゲンロンy』という、明日あたりには発売される雑誌の編集に関わってきました。今回のセミナーは、この『ゲンロンy』に私が書いた論考「陰謀の手応え——擬人の時代について」が元になっています。
説明するまでもないと思いますが、ゲンロンとは批評家の東浩紀さんが創業された出版社・イベントスペース(ゲンロンカフェ)のことです。そこで「若手が中心になって雑誌を作る」という企画が立ち上がり、僕も光栄なことにその編集委員に加えてもらったのです。
主な編集業務や雑誌としての全体的なデザインは、ゲンロン社員でもある植田さんに任せ(植田さんの労苦によってこの雑誌はできている)、僕はどちらかというとコンセプトや人選等に関して口を出させてもらいました。
さて僕の論考「陰謀の手応え」については、内容には自信があるのですが、とはいえこれは雑誌全体のコンセプトを考えながら、また寄稿者の何人かとコミュニケーションをとりながら書いていった部分があるものです。(『ゲンロンy』を見てもらえればわかるのですが、論考と論考がさまざまなところで響き合っているのがこの雑誌のいいところです。)
ですので、僕自身としてはすでに、この論考で提出したアイディアを再度、もっと僕自身の問題として捉え返して、僕自身の責任において個人的に語り直し、育てていきたいと思うようになっています。
単純に、いま僕はこの世界がすごく「生きづらい」と感じています。戦争とか差別とか格差とかそういう大きな問題も当然ありますが、もっと単純に、この手元のスマートフォンとか、身近に触れる様々なもの、言説、その他にきわめて退屈な堂々巡りを覚えるからです。はっきり言って、世の中の人たちが面白いと言っているものの大半が僕には面白いと思えませんし、新しいと言っているものの大半が新しいと思えません。
そういう状況に対する不満みたいなものが、僕が(フィッシャーから借りて)「擬似現在」と名づけたもののなかにはあります。しかし、別にフィッシャーのように絶望しなくても(彼は資本主義の閉塞に絶望して自殺したわけですが)、もっと身近で小さなところに、こうした「退屈さ」を打開してくれるものがあるのではないかと思うのです。そこで、「感性」とか「手応え」、「手触り」の問題に訴えかけたいと思うようになったわけです。
もちろんそれは哲学史的思想史的に語りうる問題がいくらでもある(し、セミナー内でも大いにそういう語り方をする)のですが、今回の僕の出発点は、もっと素朴なものです。
さて、ゲストのみなさんはいずれも『ゲンロンy』の寄稿者の方々です。彼らをお呼びしたのは、『y』から出発しつつ、ある種の別働隊として再度アイディアをほぐし直しつつ、可能性のコアとなる部分を先鋭化させる作業を行っていくためです。伊勢さん、李さん、布施さんは三人とも、今後の展開において「それぞれ、お互いにアイディアをもっと育てていくことができそうな」可能性を感じる人たちです。
伊勢さんは、中国哲学の研究者、かつユク・ホイの翻訳を手がけていらっしゃいます。僕が最近ホイに改めて興味を持つようになっているのは伊勢さんの影響というところが大きいでしょう。伊勢さんは僕と同い年で、地元がとても近いという個人的シンパシーもあります。
ホイはまさに近代的な「時間」と「新たな感性」の問題を扱っているので、今回のセミナーにとってとても大事な存在です。訳者でもある伊勢さんには、ご自身の興味と合わせてホイについてお話させてもらえたらと思っています。
李さんは、ベルナール・スティグレールの専門家で、技術哲学を中心としつつ、現代のテック思想に対する批判的な紹介も行なっていらっしゃいます。李さんと僕は最近どちらも(たまたま)アーレントに関心を持っており、その話を少しだけしたことがあったので、今回お呼びしました。
僕が李さんとともに試みてみたいと考えているのは、アーレントの「労働・仕事・活動」の枠を再度捉え直すということです。僕が今後「クラフト」と呼ぼうと思っている、僕以外にとってはまだ謎の新しい概念を、ここで概念的に磨きたいと思っています。
布施さんは現代アーティストで、最近「タイムマシン」に興味を持たれていて、それはこのセミナーの「擬似現在」的な時間性の主題ととても近い(?)問題設定だと感じました。布施さんはこのタイムマシンについての何らかの仕事を用意されていると思うので、彼のその仕事について聞きつつ、芸術と時間感覚についての射程をぐっと広げたいと考えています。
というわけで、大きく見るとこのセミナー全体のテーマは「時間と感性」とか「時代と芸術」とか「技術と手仕事」とかになるでしょう。現代の時間感覚を破壊するような感性、モノとのつながりをどうやって考えるか、それが僕の、受講者のみなさんとともに考えたい今後のテーマになります。
このSSPの第一回は「デリダ入門」でした。「入門」と銘打ったり「紹介」と銘打ったりすると人がたくさんくるのはわかっているのですが、セミナーをやっているうちに、私としてはデリダの話をするのに疲れました(笑)。もっと自由にやりたいと思うようになったのです。(デリダについては、博論もほぼ終わっており、近々まとまった仕事をまた皆さんにお届けできると思います。)
そういうわけで若干とっつきづらいものになっていると思いますが、新しい何かが生まれる現場に興味がある人はぜひご登録いただけたらと思います。
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