※ こちらは終了したセミナーのアーカイブです。
Season1〈デリダ入門〉
哲学のシークレット・サービス(ssp)は哲学研究者・批評家の森脇透青のオンラインセミナーです。
現在、Season1〈デリダ入門〉(2025年4月〜7月)の参加者を募集しています。

はじめに
私はこれまで、ジャック・デリダ(1930-2004)という哲学者を研究してきました。その検討の鍵となってきたのは「秘密」という概念です。現在、私はこの概念を導きとしてデリダの四〇年以上にわたる活動の全体を追跡しており、それを博士論文にまとめるべく苦闘しています。
このセミナーは、私が今考えていることや今後考えたいことを、文章やイベントの形式にとらわれない仕方でみなさんと共有し、新鮮な状態で議論していくためのものです。Season1〈デリダ入門〉では、「秘密」をはじめとした様々なテーマを今後私が展開していくにあたって核となるもの、デリダ思想の基本的な部分について、お話したいと思います。
開講されるのは、(A)脱構築とは何か、(B)『声と現象』を読むのふたつの初学者向けセミナーです。下記にその概要を掲載していますので、ご一読ください。
みなさんにぜひご参加いただければと思っています。
こんな方に向いています
哲学を基礎から学びたい、哲学的なテーマに関心がある
哲学的な文章の読み方を体得したい
デリダの思想や概念に関心がある
デリダが関係したさまざまなジャンルに関心がある(現象学、精神分析、言語学、文学、美術、宗教、建築など)
日本の批評・思想に関心がある
現代生じていることを新しい視野から理解したい
哲学を実践に活かしたい
講義の進め方
A, Bともに120分×4回(月一回)
基本的には森脇の講義形式で進めますが、質問・議論等コミュニケーションの時間も設けます。発言はもちろん任意です。
Zoomで実施します。
リアルタイムで参加できない方にもアーカイブと資料を共有します(読書会用のDiscordにて)。
Season1 セミナー
(A)脱構築とは何か
ジャック・デリダは「脱構築」の思想家として知られています。脱構築的な思考の様式は、様々な学問や批評に対してのみならず、政治や教育や諸芸術(文学、建築、美術、音楽等)に影響を与えました。
デリダ自身を離れ、「現代思想」は一般的にすべて「脱構築」的なのだ、と言われることさえあります(参照:千葉雅也『現代思想入門』、講談社現代新書)。したがって、二〇世紀後半は「脱構築の時代」であったといっても過言ではありません。
「脱構築」は現代思想や現代社会を理解するには必須の用語です。ところが、この言葉は入門書の類にはかならず登場するにもかかわらず、実際にデリダのテクストですっきりとした定義がなされているわけではありません。たとえば、よく使われる「二項対立の解体」といった定義は毎回当てはまるわけではなく、デリダはこの言葉をかなり濫用ぎみに、色々な局面で使っています。
実際のところ、デリダはこの語に託すニュアンスを時期ごとに変えていました(たとえばデリダは「脱構築」という語を嫌って用いなかった時期さえあります)。そのように、デリダの主要な概念でありながら、軟体動物のように掴みとりがたい「脱構築」について、このセミナーではさまざまなテクストに実際に即しながら、基本的な部分をお話しします。
(もっと詳細にテクストに寄り添った解説は、(B)で行います。)
また、後半では、「脱構築」が日本においてどのようなインパクトをもったのか、現在どのような位置にあるかについてもお話しします。
日程
4/18, 5/16, 6/20, 7/18(毎月の第三金曜日)
20:00-22:00
講義計画
第一回 「閉域」からいかにして脱出するか?/脱構築の誕生
第二回 脱構築は一貫しているか?/脱構築の受容と変容
第三回 日本で脱構築は可能か?/脱構築と日本の批評
第四回 脱構築の現在と未来/デリダ以後

(B)『声と現象』を読む
(A)が理論編だとすれば、(B)は実践編だといえるでしょう。以前、『「差延」を読む』(読書人)という解説書(共著)を刊行した際にも強調しましたが、デリダの哲学を理解するための一番の近道は実際にデリダの文章に触れてみることです。こちらのセミナーの最終的な目標は、受講者の皆さんが今後、デリダの文章を一人でも読み進められるようになることです。
デリダは1967年、『声と現象』『エクリチュールと差異』『グラマトロジーについて』の三冊の著書を立て続けに刊行し、華々しいデビューを飾ります。『声と現象』はそのうちのひとつであり、デリダの主著のひとつとみなされています。実際、ここには「差延」「痕跡」「代補」「エクリチュール」といったデリダの主要概念がかなりの数登場します。
もともとデリダは1950年代、現象学者フッサールの哲学の研究からそのキャリアをスタートさせました。『声と現象』はそのフッサールについての著書です。しかし、この本も初学者にはなかなか手強いものです。その理由は、デリダ自身の文章が難解であるというよりも、何よりも現象学が難しいからです。
『声と現象』はデリダのフッサール研究の長年の成果が凝縮されたものであり、他のどのテクストとも違った「気合い」が入っています。デリダはここでフッサールの様々な時期の著作を行き来し、概念のネットワークを作りながらそれと対峙し、自身の思考を組み立てていきます。そこでは、自己とは何か、時間とは何か、言語とは何か……といった、哲学の基礎となるような問題が複雑に絡み合っています。
それは非常にハイコンテクストです。けれどもそのなかに踏み入っていくなら、デリダの独創的な概念の数々は、その多くが現象学との対話のなかから生まれてきたということが徐々にわかるでしょう。
本講義では、初学者の方向けに現象学について最低限の知識をフォローしながら、デリダがそこにどのようなアプローチを行い、どのようなアイディアを引き出しているのか解説します。
※セミナーの性質上、林好雄訳『声と現象』(ちくま学芸文庫)をご用意いただくのをおすすめします。
日程
4/25, 5/23, 6/27, 7/25(毎月の第四金曜日)
20:00-22:00
講義計画
第一回 現象学とは何か?/序論、第一章解説
第二回 記号とは何か?/第二章、第三章解説
第三回 現在とは何か?/第四章、第五章解説
第四回 自己とは何か?/第六章、第七章解説